Resonance Audioをオープンソース化し、VR/AR体験を向上

GoogleによるオープンソースのResonance Audio:新たなスパイシャルオーディオ体験の始まり

近年、バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)の技術が進化する中で、音の重要性がますます増しています。Googleは2018年に、開発者がよりリアルなVRおよびAR体験を創出するためのスパイシャルオーディオSDK「Resonance Audio」を発表しました。この技術は、仮想空間内で音がどの方向から聞こえるかを再現し、ユーザーに没入感を提供します。

Resonance Audioの特徴

Resonance Audioは、モバイルおよびデスクトップ向けに最適化されたスパイシャルオーディオテクノロジーを提供し、多様なプラットフォームでのアプリケーション作成を可能にしました。具体的なアプリケーションとしては、以下のようなものがあります。

  • Pixarの「Coco VR」:Gear VR向けに設計された体験。
  • Disneyの「Star Wars: Jedi Challenges」:AndroidおよびiOS向けのARアプリ。
  • Runawayの「Flutter VR」:Daydreamプラットフォームでのアプリ。

オープンソース化の意義

GoogleはResonance Audioをオープンソースプロジェクトとして開放することで、開発者コミュニティの強化を目指しています。これにより、どのプラットフォームやソフトウェア開発ツールを使用しても、簡単にResonance Audioと統合できるようになりました。これが意味するところは、コンテンツクリエイターにとってのさらなる配布チャンスを提供し、高コストな移植プロジェクトの心配から解放されるということです。

オープンソースプロジェクトに含まれるもの

今回のオープンソースプロジェクトには、以下のような要素が含まれています。

  • YouTubeのAmbisonicベースのスパイシャルオーディオデコーダー:業界の他のプロジェクトと互換性のあるAmbisonicsフォーマット(Ambix ACN/SN3D)を搭載。
  • エンコーディング、音場操作、デコーディング技術:多様なデバイスやプラットフォームでのスパイシャルオーディオ体験を実現。
  • 高度なDSPクラスと機能のライブラリ:リサンプラー、コンボルバー、フィルター、遅延ラインなどを含む。
  • 新しいSpectral Reverb:効率的で高品質なリバーブ効果。

開発者へのメリット

オープンソースプロジェクトとしてのResonance Audioは、Apache 2.0ライセンスの下で、誰でも自由に利用できるようになりました。これにより、開発者は自分のプロジェクトでResonance Audioを使用することが可能で、改善点があればGitHubでプルリクエストを提出できます。

なお、Unity、Unreal、FMOD、Wwise向けのエンジンプラグインは今後もオープンソースとして維持される予定ですが、これらはそれぞれのパートナー企業(Unity、Epic、Firelight Technologies、Audiokinetic)によって管理されます。

さらなる情報と参加方法

Resonance Audioに興味がある方は、開発者サイトのドキュメントをぜひご覧ください。また、プロジェクトに積極的に参加したい方は、GitHubでソースコードにアクセスし、プロジェクトをビルドしたり最新のリリースをダウンロードしたり、さらには自分が貢献することもできます。

未来の没入型音響体験を共に創り上げていけることを、Googleは楽しみにしています。