Google Cloudを活用してモバイルアプリを強化する方法
モバイルアプリの開発者にとって、アプリのユーザー体験を向上させることが非常に重要です。特に、アプリが再インストールされた際の「アプリ忘却症」と呼ばれる問題は、ユーザーの不満を引き起こす要因の一つです。この記事では、Google Cloudを利用してこの問題を解決する方法について、優しく解説していきます。
アプリ忘却症とは?
アプリ忘却症とは、アプリがユーザーの設定やデータを「忘れてしまう」現象を指します。例えば、新しいデバイスにアプリをインストールした際、以前の設定や保存したデータが失われることがあります。これは、ユーザーのアプリデータがデバイスのローカルにのみ保存されているからです。
バックエンドプラットフォームとの接続
この問題を解消するためには、アプリをバックエンドプラットフォームに接続することが必要です。しかし、バックエンドの構築は手間がかかるため、アプリの開発において時間が取られがちです。そこで、Googleは二つの新機能を提供しています。
Google Cloud Save
Google Cloud Saveは、開発者がバックエンドをコードで構築することなく、ユーザーデータをクラウドに簡単に保存・読み出しできる機能です。これにより、ユーザーは複数のデバイス間でのデータ同期や、アプリの再インストール時に設定が保持されることが可能となります。
- データはローカルに書き込まれ、その後自動的に同期されます。
- オフラインでもデータにアクセスが可能で、バッテリーへの影響を最小限に抑えます。
- 以下のわずか4つのメソッドでデータの保存や削除を行えます:
- .save(client, List): データの保存
- .delete(client, Query): データの削除
- .query(client, Query): データのクエリ
- .requestSync(client): 同期リクエストの発行
この機能により、開発者はユーザー特有のデータを自身のGoogle Cloud Datastoreデータベースに安全に保存できます。
Android Studioのクラウドツール
次に紹介するのは、アプリにApp Engineバックエンドを簡単に追加するための機能です。Android Studioでは、App Engineのバックエンドモジュールのテンプレートを提供しています。これにより、バックエンドの構築が簡素化され、開発者はアプリの中核機能に集中できます。
- App Engine Java Servlet Module: 最小限のバックエンド
- App Engine Java Endpoints Module: 基本的なエンドポイントの雛形
- App Engine with Google Cloud Messaging: プッシュ通知の設定
これらのテンプレートを選択すると、プロジェクトは新しいGradleモジュールで更新され、必要な依存関係やパーミッションが自動的に設定されます。
Google Cloud Endpointsの利用
バックエンドモジュールを追加した後、Google Cloud Endpointsを使用して、バックエンドとAndroidアプリの間の通信を効率化できます。Cloud Endpointsは、シンプルなJavaのサーバーサイドAPIアノテーションから強く型付けされた、モバイル最適化されたクライアントライブラリを自動生成します。
- JavaオブジェクトのJSONとのマッピングを自動化します。
- OAuth 2.0を組み込んだセキュリティ機能を提供します。
- 生成されたAPIを確認するためのエンドポイントAPIエクスプローラーを利用できます。
これにより、開発者はサーバーサイドのエンドポイントAPIを定義した後すぐに、Androidアプリからクライアントライブラリを呼び出すことが可能です。
Gradleの活用
最後に、アプリとApp Engineバックエンドをビルドするための重要なツールがGradleです。Android StudioがApp Engineバックエンドを追加すると、Gradle用のオープンソースプラグインが自動的にダウンロードされ、一般的なApp EngineのタスクがGradleの目標として利用可能になります。これにより、IDEやコマンドライン、継続的インテグレーション環境で一貫したビルドシステムを利用できるのです。
Google Cloudサービスを利用することで、モバイルアプリの開発はより効率的になり、ユーザーにとって快適な体験を提供することが出来ます。興味がある方は、ぜひこれらの機能を試してみてください。