Google I/OでのAR体験の創造:そのプロセス
2018年5月30日、Google I/Oで発表されたARCoreは、Googleの拡張現実(AR)開発プラットフォームとして大きなアップデートを受けました。この新機能には、Cloud AnchorsやAugmented Imagesが含まれ、複数のユーザーが共同でAR体験を楽しむことができるようになりました。
この記事では、Googleの開発者たちがこれらの新機能を活用してどのように実際のAR体験を構築したのか、その裏側のプロセスや洞察を紹介します。
Light Board – マルチプレイヤーゲーム
「Light Board」は、全く新しいタイプのARマルチプレイヤー卓上ゲームです。プレイヤーは浮遊するゲームボード上でカラーの発射物を相手に向かって発射します。このゲームの開発にあたって、重要な点はターゲットであるエンドユーザーを意識することでした。参加者が短時間で楽しめる、シンプルで楽しいゲームを目指しました。
- ゲームは数分でプレイできる設計となっており、特に非ゲーマーでもすぐに楽しむことができるようにされていました。
- デザイン面では、Google I/Oのビジュアルに合わせて、鮮やかなアクセントカラー、シンプルなグラフィック、自然な物理素材を用いて、ゲームアートを作成しました。
- 使用したソフトウェアはMayaとCinema 4Dで、モデルに物理ベースの素材を適用し、継続的な改良を重ねました。
さらに、ゲームエンジンにはUnityを選択しました。Unityの利点は、すぐに美しい3Dグラフィックスを実現できる点と、Android、iOS両プラットフォームに対応している点です。マルチプレイの実現にはFirebase Realtime Databaseを使用し、イベント中のネットワークパフォーマンスにも配慮しました。
Just a Line – 友達と描く
「Just a Line」は、空中に絵を描くことができるシンプルなARアプリです。このアプリはARCoreの力を示すための実験的なものであり、Google I/OではCloud Anchorsを追加しました。これにより、異なるプラットフォームの2人が同じ空間で同時に描画できるようになりました。
- AndroidバージョンはAndroid Studioで開発され、iOSバージョンはxCodeで開発されました。
- Firebase Realtime Databaseによって、描画がリアルタイムで同期されます。
個々のアプリのオープンソースコードは、iOSとAndroidでそれぞれ利用可能です。
Illusive Images – アート展示が生きる
「Illusive Images」は、3つの異なるアート作品を探求する拡張現実のギャラリーです。作品を横切ったり特定の方向を見たりすると、2Dアートが3Dと融合し、観賞者は物理的な枠を超えた作品の空間に入ることができます。
- アート作品の視覚デザインに関して、さまざまな機能を持つデータベースを使って多くの実験が行われました。
- アートの明るさやコントラストを調整しながら最適な画像を実現するため、キャンバスのサイズを変えて迅速に反復しました。
- アプリはUnityでARCoreを用いて構築され、多くの資産はCinema 4Dで作成されました。
開発者へのメッセージ
Googleのチームは、これらのデモを通じてARアプリの構築がどれほど簡単で楽しいかを示したいと考えています。具体的には、Light BoardやJust a Lineのような例を通じて、AR技術の魅力を伝えています。また、開発者はすべてのデモをオープンソースとして提供されているので、興味のある方はぜひ試してみてください。
ARCoreを利用すれば、自身のAR体験を今すぐにでも構築することができます。より多くの情報を得たい方は、公式ウェブサイトを訪れてみると良いでしょう。