Google App EngineアプリのCloud Runへのコンテナ化
近年、開発者たちはアプリケーションのデプロイメント手法としてコンテナ化を選ぶことが増えてきました。特に、Google Cloudのサーバーレスプラットフォームを使用する際には、これは一層顕著です。今回は、Google App EngineからCloud Runへアプリを移行し、コンテナ化するプロセスについて詳しく解説します。
移行の背景と理由
Google App Engineは長期的にサポートされており、ユーザーがアプリをコンテナ化する必要はありません。ただし、コンテナ化を取り入れたいと考える開発者にとっては、この移行が選択肢の一つとなります。ここで、アプリのコンテナ化を検討する理由をいくつか挙げてみましょう。
- 柔軟性: 従来のサーバーレス制約に縛られず、開発言語やバイナリの利用に制限がない。
- 再現性: コード、依存関係、およびコンテナのビルド・デプロイ手順が変更されないため、同じイメージを信頼をもって再作成できる。
- 再利用性: アプリケーションは他の場所にデプロイされたり、必要に応じて以前の稼働中のイメージにロールバックされたりできる。
- 移植性: アプリをホストするオプションが増え、さまざまな環境で運用が可能。
移行に向けての準備
古いApp Engineのサービスは、特有のバンドルされたAPIを介して利用可能です。ですが、Cloud Runではこれらのサービスは利用できません。したがって、アプリをCloud Run用にコンテナ化するには、次のステップを踏む必要があります。
- データストアの変更: 例えば、Python 2のユーザーはCloud NDBを使用し、Python 3ではCloud Datastoreを使用する必要があります。
- アプリケーションコードの変更: 実行プラットフォームを切り替えるのみで、アプリケーションコード自体には変更を加える必要はありません。
- 構成ファイルの変更: App Engineのapp.yamlやappengine_config.pyは使用されないため、これらは削除されます。その代わり、Dockerfileを用意する必要があります。
- サービスの設定: app.yamlの内容に基づいて、Cloud Run用のservice.yamlファイルが必要となる場合があります。
Docker化のプロセス
Cloud Runでは、ユーザーが自分のコンテナイメージを提供する必要があります。これにより、アプリの実行時に適切なサーバーをバンドルすることが求められます。具体的には、gunicornというHTTPサーバーを使用することが一般的で、この設定をrequirements.txtに記述する必要があります。
- Python 2向けのDockerfileでは、Cloud NDBパッケージ (google-cloud-ndb) を要求します。
- Python 3の場合、同様にrequirements.txtを用意し、それを基にDockerfileを設計します。
移行のステップと最終コード
移行の過程では、まず「START」となる動作するアプリを用意し、必要な更新を行います。そして、最終的な動作する「FINISH」アプリを作成します。これにより、万が一移行中に何か問題が発生しても、「START」に戻ることができるため、安全です。
移行作業は、サンプルアプリを使用して試してみることを推奨します。また、移行用のハンズオンガイドやチュートリアルも用意されており、これを活用することでスムーズに移行が可能です。
まとめ
Google App EngineからCloud Runへアプリをコンテナ化するプロセスは、少々手間がかかるかもしれませんが、適切に進めることでより柔軟で強力なアプリケーションを構築することができます。今後も、古いランタイムからの移行に関する情報が増えることを期待しつつ、開発者たちが新しいツールや技術を活用できるよう、引き続きサポートが行われることでしょう。