FedCMとは?Google Identityサービスの新たな一歩
2023年8月22日、GoogleのIdentityチームは、Chromeブラウザの新しいFedCM(Federated Credential Management)APIとの統合をテストするためのベータプログラムを発表しました。この更新は、One TapやAuto Sign-In機能を利用するすべてのGoogle Identity Services(GIS)ウェブ開発者を対象としています。では、FedCMがどのようにユーザー体験を向上させ、開発者にどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。
なぜFedCMが必要なのか
これまでGIFは、サードパーティクッキーを利用して、ユーザーがウェブサイトに簡単にサインアップやサインインできるようにしてきました。しかし、プライバシーを守るための「Privacy Sandbox」イニシアティブの一環として、Chromeは2024年にサードパーティクッキーのサポートを段階的に終了する予定です。これにより、ユーザーのオンラインプライバシーが強化されることを目指しています。
FedCM APIは、Federated Identity Providers向けに新しいプライバシーを重視した代替手段としてW3CのFedIDコミュニティグループによって開発されました。この新しい解決策により、Googleは引き続き安全でスムーズなサインアップやサインインを提供できるようになります。
FedCMの利点
- プライバシーの向上:FedCMは、ユーザーの許可なしにアイデンティティプロバイダーがユーザーの行動を追跡することを防止します。これにより、ユーザーのプライバシーが守られます。
- 高品質なユーザー体験:新しいブラウザネイティブUIを利用することで、ユーザーはウェブサイトやアイデンティティプロバイダーをまたいで、一貫性のある迅速なサインイン体験を享受できます。
- 追加のブラウザサポート:将来的には、FirefoxやEdge、Opera、Samsungブラウザなど、他のブラウザでもFedCMがサポートされる見込みです。
GIS開発者への影響
GISのOne TapやAuto Sign-In機能を利用している開発者は、Chromeブラウザがサードパーティクッキーの非推奨を進める中で、FedCMへと移行することになります。ほとんどの開発者は、GIS JavaScriptライブラリの後方互換性更新を通じてシームレスに移行できる見込みです。JavaScriptライブラリはバックグラウンドでFedCM APIを呼び出します。
ただし、一部のウェブサイトでは、カスタムレイアウトやサインインプロンプトの配置の更新など、わずかな変更が必要となることがあります。自分のウェブサイトが変更を必要とするかどうかを知るためには、移行ガイドを確認し、FedCMベータプログラムに参加することが推奨されます。
FedCMユーザー体験の詳細
FedCMを利用することで、GISはサードパーティクッキーが利用できなくなった場合でも、シームレスなユーザー体験を提供し続けます。FedCM APIは既存のユーザーフローやウェブサイトには最小限の変更しか要求しません。FedCM APIを使用した更新されたOne TapやAuto Sign-Inのユーザープロンプトは、今後の更新に含まれています。
タイムライン
GISは2023年11月から段階的にFedCMへの移行を開始します。以下に、重要なタイムラインを示します。
- 2023年8月:開発者はGIS FedCMベータリリースに参加できるようになります。
- 2024年初頭:FedCMへの段階的移行が始まり、2024年中頃には100%の移行が完了します。
- 2024年初頭:Chromeは、事前テストとしてサードパーティクッキーのブロックを拡大します。
Chromeがデフォルトでサードパーティクッキーをブロックするようになると、GIS One Tapの機能を維持するためにはFedCMの利用が必要になります。
ベータプログラムへの参加を呼びかけ
すべての開発者に、今日から利用可能なFedCM APIのベータプログラムに参加し、これらの変更に備えることをお勧めします。プログラムの詳細を知りたい方は、開発者サイトを訪れ、Stack Overflowのgoogle-signinタグで技術的サポートを確認してください。フィードバックをgis-fedcm-feedback@google.comまでお寄せいただければ、今後の改善に役立てます。
技術の進化に伴い、ユーザーのプライバシーと便利さも同時に向上させる新しいツールが開発されていることを、皆さんもご理解いただければと思います。FedCMを通じて、より良いインターネット体験を実現しましょう。