Google AI Edge Model Explorer: エッジデバイス向けのMLモデルをシンプルに
2024年の6月26日、Googleは新たに「Model Explorer」という強力なグラフ可視化ツールを発表しました。このツールは、機械学習(ML)モデルの開発やリフォーマット、最適化、デバッグを行う際に非常に役立ちます。Model Explorerを使用することで、モデルアーキテクチャを視覚化し、データがノード間でどのように流れるかを理解することができ、特にエッジデバイス向けに最適化する際の複雑さを克服できます。
Model Explorerの特徴
Model Explorerは、元々Googleの研究者やエンジニアのために開発されたツールですが、現在は一般にも公開されており、以下のような機能を提供しています。
- 非常に大きなモデルグラフの可視化:数万ノードを含むグラフを60 FPSのスムーズな体験で表示。
- 人気のMLフレームワーク:JAX、PyTorch、TensorFlow、TensorFlow Liteをサポート。
- Colabノートブックでの実行:直接Colabでモデルを可視化可能。
- カスタム拡張機能によるフォーマットの拡張性:より多くのモデルフォーマットに対応。
- メタデータのオーバーレイ:属性や入出力データなどをノード上に表示。
- 効率的なUI機能:サイドバイサイドのグラフ比較が可能なスプリットペインビュー。
Model Explorerの使い方
Model ExplorerはPyPIパッケージとして簡単にインストールでき、ローカルデバイスやColab、もしくはPythonファイル内で実行できます。以下は、ローカルでのセットアップ手順です。
$ pip install ai-edge-model-explorer $ model-explorer
これらのコマンドを実行すると、localhost:8080でModel Explorerのサーバーが起動し、ブラウザタブでModel Explorerのウェブアプリが開きます。
続いて、モデルファイルをコンピュータからアップロードし、必要に応じて最適なアダプタを選択します。また、Colabノートブック内でモデルを可視化する方法も示されており、実際のコード例を使っての説明が行われています。
モデルアーキテクチャの理解
Large model can be complex, but Model Explorer simplifies the understanding by breaking down the visualization into hierarchical layers. 例えば、MobileBertモデルを使用することで、自己注意マスクや埋め込みがどのようにトランスフォーマーレイヤーに供給されているかが明確になります。こうした層の情報は、モデルの構造を把握するのに非常に役立ちます。
エラーのデバッグとパフォーマンスの確認
モデルの形式を変換する際(例えばPyTorchからTensorFlow Liteへ)、変換前後のグラフをサイドバイサイドで比較できるため、性能に影響を与える可能性のある変更を簡単に見つけることができます。また、各ノードのデータをオーバーレイし、パフォーマンスや数値的なボトルネックを素早く特定することも可能です。
Googleにおける使用例
Model Explorerは、WaymoやGoogle Siliconなどのチームでも利用されています。これらのチームは、Gemini Nanoのようなデバイス上のモデルをデバッグ・最適化する際に、この工具の重要性を実感しています。
今後の展開
今後数ヶ月間で、Model Explorerのコア機能の強化を行う予定です。具体的には、グラフの比較や編集機能の改善、独自のツールをModel Explorerに統合できるようにすることを目指します。
Model Explorerは、MLの世界において複雑なモデルを扱う際の強力なサポート役となるでしょう。このツールを利用することで、ユーザーはモデルの可視化や最適化を簡単に行うことが可能になり、開発サイクルの短縮や品質向上に寄与することが期待されています。